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2018年11月16日 第14回労働政策審議会 職業安定分科会 雇用環境・均等分科会同一労働同一賃金部会
雇用環境・均等局
○日時
平成30年11月16日(金) 15時30分~17時30分
○場所
東京都千代田区霞が関1-2-2
厚生労働省共用第8会議室
○出席者
【公益代表委員】
岩村委員、松浦委員、守島委員、山田委員 |
【労働者代表委員】
梅田委員、梅田代理人(小原委員)、村上委員、吉清委員 |
【使用者代表委員】
及川委員、杉崎代理人(小林委員)、鈴木委員、田代委員 |
○議題
・ 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律の一部改正法の施行について
○議事
○守島部会長 それでは、ほぼ定刻になりましたので、ただいまから第14回「労働政策審議会 職業安定分科会 雇用環境・均等分科会 同一労働同一賃金部会」を開催いたしたいと思います。
まず、本日の出席状況につきましては、公益代表の武田委員、中窪委員、労働者代表の小原委員、齋藤委員、松井委員、使用者代表の秋田委員、小林委員、中野委員が御欠席でございます。
なお、小原委員に関しましては、全日本電機・電子・情報関連産業労働組合連合会書記次長の梅田様が代理で御出席いただきます。それから、小林委員に関しましては、日本商工会議所産業政策第二部副部長の杉崎様が代理で御出席いただきます。
それでは、事務局より定足数の御報告をお願いいたします。
○松永有期・短時間労働課長 定足数について御報告いたします。
労働政策審議会令第9条におきましては、委員全体の3分の2以上の出席、または公労使各側委員の3分の1以上の出席が必要とされておりますけれども、定足数は満たされておりますことを御報告申し上げます。
○守島部会長 ありがとうございました。
カメラはいらっしゃいませんね。このぐらいで終わりにさせていただきたいと思います。
それでは、議事に入りたいと思います。本日の議題は「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律の一部改正法の施行について」でございます。
まず、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○吉村多様な働き方推進室長 それでは、事務局のほうから、本日の部会の資料について御説明させていただきます。
本日は、10月2日に一度御議論いただきました労働者派遣の労使協定方式の運用、特に同種の業務に従事する一般労働者の平均賃金ですとか、労働者派遣法の実務の流れ、労使協定のイメージ、労使協定の周知方法、こういった点について御議論いただきたいと思っております。
まず、資料1-1をごらんください。「同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準及びそれと比較する派遣労働者の賃金(案)」というものでございます。
まず、大きな構成といたしましては、局長通達で示す統計を用いる場合と、局長通達で示す統計以外を用いる場合、この構成は変わっておりません。
また、局長通達で示す統計といたしましては、賃金構造基本統計調査と職業安定業務統計、この2つ。しかも、勤続0年につきましては、中途採用も含まれているということで、賃金構造基本統計調査につきましては、学歴計との初任給の調整、職業安定業務統計につきましては、同様の考えから、下限求人賃金の平均をとっているというところについては、変わっておりません。
その上で、10月2日の部会にお示しした資料から変わった点を中心に御説明させていただきます。
まず、タイトルの部分でございますけれども、10月2日の際は「一般労働者の賃金水準」という形で、少し省略して記載しておりましたが、法律上の規定は「同種の業務に従事する一般労働者」という文言になっておりますので、「同種の業務に従事する」という表現を追加しております。同様の追加につきましては、ほかの部分にも「一般労働者」という言葉が出てくるところにつきましては、追加させていただいております。
また、1の局長通達で示す統計の部分でございますけれども、四角の中に3つ点があるかと思います。
1つ目の点でございますが、職業安定業務統計につきましては、中分類、小分類に加えまして、職業大分類の場合も可能と考えておりまして、職業大分類というものを追加しております。
また、2つ目の点の部分でございますけれども、従前の資料では「勤続年数指数」という表現を使っておりましたが、勤続年数によって機械的に賃金が上昇するという誤解を招くので、不適切ではないかという御意見がございましたので、指数の名前を「能力・経験調整指数」に変えさせていただいております。
また、地域指数につきましては、ハローワーク別だけでなく、都道府県別も可能と考えておりますので、都道府県別というものを追加しております。
また、真ん中の図の部分でございますけれども、上のほうに「地域調整指数」という青字のものがあろうかと思います。この部分につきましては、従前の資料では、地域調整指数で調整した結果、上方にしか行かない、上にしか移動しないと見えるような図で、不適切ではないかという御指摘もございましたので、地域指数調整の結果、下がる場合もあり得ることがわかるように修正しております。
また、※が5つ、図の下についておりますけれども、3つ目の「職業安定業務統計では特別給与額が分からないので、賃金構造基本統計調査から計算した賞与指数を掛けることで」という表現をしております。従前のところで、ここは職業安定業務統計では「賞与」と書いておりましたが、賃金構造基本統計調査上の用語としては「特別給与」になっておりますので、その用語に統一しております。指数としては、「賞与指数」というものを従前どおり使わせていただいております。
続きまして、2ページ目をお願いいたします。退職手当の考え方でございます。選択肢1~3のいずれかを労使の話し合いで選択するという構造自体は、変えておりません。
従前から変更している部分といたしましては、選択肢2の四角で囲っている2つ目の○の部分につきましては、退職費用分の比率としては6%を使用するという提案でございますので、この2つ目の○の部分での数字としても6%という表現に変更させていただいております。
続きまして、3ページ目をお願いいたします。賃金テーブル、職務給のケースのイメージというものでございますが、これにつきましては、プログラマーの例で、Aランク、Bランク、Cランクの3つに区分して、同種の業務に従事する一般労働者の平均的な賃金の額を上回っているという構造は変えておりません。ただ、同種の業務に従事する一般労働者の平均的な賃金の額に入っている額の数字でございますが、4ページでお示しする関係上、少し金額が変わっているところがございます。
続きまして、4ページ目をお願いいたします。こちらは、新しく追加でお示ししている資料でございます。「労使協定方式の実務の流れ(年間スケジュール)(案)」というものでございますけれども、労使協定方式の実務の流れを、こうなるのではないかということで整理させていただいております。局長通知の比較対象となる賃金額が発出された後、労使協定の締結、労使協定の周知、就業規則等の整備、派遣料金の交渉、派遣契約の変更。あるいは、派遣先におきましても原資の確保といったことを考えますと、局長通知の発出から一定の期間を確保する必要があるだろうということがあります。
あと、4月1日、年度で切りかわるという適用のほうが実務にかなうのではないかということで、こういう提案をさせていただいております。
他方で、できる限り直近の賃金データを局長通知でもお示ししたほうがいいだろうという観点も考慮いたしまして、賃金構造基本統計調査につきましては、前年6月の賃金を使用するということは変えておりませんが、ハローワークの職業安定業務統計につきましては、これまでお示ししておりました歴年で計算するものから、年度で計算するということへ変更してはどうかと考えております。
この2つの統計を集計したものを、6月から7月ごろに局長通知として発出いたしまして、その後、派遣元・派遣先で必要な準備をしていただいて、翌年4月1日から適用するという流れにしてはどうかと考えております。
続きまして、資料1-2をごらんください。「平成29年賃金構造基本統計調査による職種別平均賃金(時給換算)」というものでございます。これも従前からお示ししているところから変わっているところについて御説明させていただきます。
まず、一番右の欄に「参考値(0年)(補正前)」というものを追加しております。この部分につきましては、部会の議論において、基準値0年のところは中途採用も含まれるということを考慮して12%の調整をしておりますが、調整する前の数値も記載すべきではないかという御指摘を踏まえたものでございます。一番右の部分につきましては、12%の調整と通勤手当71円を考慮する前の数字を記載しております。
また、10月2日の部会にお示しした際には、地域別最低賃金の加重平均848円を下回っているものにつきましては「-」という形で、数字をお示ししておりませんでした。ただ、部会での御意見も踏まえまして、数値としてはお示ししつつ、地域指数などを考慮した結果、最低賃金を下回る場合には最低賃金を使用するという形に改めてはどうかということで考えております。
具体的には、3ページの注を幾つか見ていただけますでしょうか。
修正している点といたしましては、注1で、この賃金構造基本統計調査は企業規模10人以上の企業が対象ですということを追加しております。
また、注2も追加しておりまして、賃金構造基本統計調査の勤続0年の特別給与といいますのは、採用日から6月30日までに支給されたものを集計しております。そのため、採用日によっては冬季、冬に支給される特別給与が含まれていない場合もありますということを追記しております。
また、注7ですけれども、先ほどお話ししましたように、計算の結果、最低賃金を下回る場合は最低賃金を使用するということ。
それから、注8、一番右の参考値(0年)補正前の部分でございますけれども、これは新卒初任給12%と通勤手当71円を補正する前の数値ですよということを追記しております。
続きまして、資料1-3をごらんください。「平成29年度職業安定業務統計による職種別平均賃金(時給換算)」というものでございます。これにつきましては、先ほども資料1-1の4ページ目のところで追加した資料で御説明いたしましたけれども、実務の流れを考えまして、今回、職業安定業務統計による賃金の額につきましては、暦年ではなくて、年度のデータで集計したものを記載しております。そのため、10月2日にお示ししたものから少し数字が変わっております。
それから、基準値につきましては、下限求人の平均というものをとっておりますけれども、一番右の欄、先ほどの賃金構造基本統計調査と同様に「参考値(0年)」というものを追加しておりまして、この部分につきましては、求人の上限と下限の中間値の平均をとったものを「参考値(0年)」として、一番右の欄に追加しております。
また、注を幾つか追記・修正しておりますので、9ページを見ていただけますでしょうか。
注1でございますけれども、職業安定業務統計の無期・フルタイムの下限求人賃金の平均値に賞与指数、能力・経験調整指数を掛けてつくっていますということを説明しております。
また、注4でございますけれども、先ほどと同様に、賃金構造基本統計調査の勤続0年の特別給与につきましては、採用日から6月30日までに支給されたものを集計しているため、採用日によっては冬季に支給される特別給与が含まれない場合があるということを追記しております。
また、注6で、最低賃金を下回る場合には最低賃金を用いるということ。
それから、注7で一番右の参考値(0年)といいますのは、下限求人賃金と上限求人賃金の中間の値の平均値を計算したものを掲載しているということを追加しております。
続きまして、資料1-4を見ていただけますでしょうか。「平成29年度職業安定業務統計による地域指数」というものでございます。これは、先ほどと同じように、10月2日にお示しした際は暦年で計算したものでございましたけれども、今回は年度で計算した地域指数でございます。
また、前回お示しした際は、都道府県別地域指数とハローワーク別地域指数を一体としてお示ししているような形でございましたけれども、複雑という御指摘も踏まえまして、まず1ページ目に、全都道府県の地域指数を掲載いたしまして、都道府県の指数だけ活用される場合には、各県の指数が一覧できるような形にしております。
2ページ目以降で、10月2日の際と同じような形で、各都道府県別の地域指数とハローワーク別の地域指数を北海道から順次、掲載するような形にしております。
続きまして、資料1-5をごらんください。「通達で示す退職手当に関する調査(案)」というものでございます。これにつきましては、前回お示ししたものから修正した点といたしましては、1ページ目を追加しているということでございます。こちらで、通達でお示しする退職手当に関する調査の概要というものをまとめて掲載するような形にしております。
2ページ目以降は、前回お示ししたものから修正はしておりません。
続きまして、資料2「事業主が実施すべき実務の流れ(労働者派遣法関係)(イメージ)」というものをごらんください。これにつきましては、前回の部会の御議論で、派遣法の場合の作業フロー、実務のフローというものを示してはどうかという御意見もいただきましたので、議論の参考にこちらのほうで用意させていただきました。
大きくは、派遣先均等・均衡方式と労使協定方式に分かれますので、左に派遣先均等・均衡方式、右側に労使協定方式という形で整理しております。また、少し色を塗っている部分がございますが、赤く塗っている部分が派遣先の行為で、青く塗っている部分が派遣元の行為、白くなっている部分につきましては、派遣先・派遣元、両方に関係する行為ということでございます。
まず、派遣先均等・均衡方式の場合でございますけれども、派遣先から待遇情報を提供して派遣元のほうで派遣労働者の待遇の検討・決定をした上で、料金交渉して派遣契約をし、派遣労働者に対する説明を派遣元が行うという流れにしております。
また、点線で囲っている注の部分でございますけれども、比較対象労働者の待遇に変更があった場合につきましては、変更部分につきまして派遣先からの待遇情報の提供というものがございまして、それを受けて、派遣元では待遇の検討を行って、必要に応じて、上の流れに沿って対応すると考えております。
また、求めに応じて下記の対応ということで、求めがあった場合に比較対象労働者との待遇の相違等の説明。
それから、派遣先の労働者に関する情報ですとか業務の遂行状況等の追加情報の提供への配慮ということがございます。
右側の労使協定方式の場合でございますけれども、過半数組合がない場合につきましては、過半数代表者を選出して労使協定を締結して協定を周知するということ。
それから、一部の教育訓練、福利厚生施設に限られるものでございますけれども、派遣先からの待遇情報の提供。これを受けて料金交渉して派遣契約を結んで、派遣労働者に対する説明を行う。
その上で、点線で囲っている部分でございますけれども、協定の場合につきましては、同種の業務に従事する一般労働者の平均賃金に変更があったときにつきましては、派遣元のほうで協定改定の必要性を検討して、必要に応じて、上の流れに沿って対応するということになろうかと思います。
また、求めに応じての対応ということで、派遣労働者から求めがあった場合には、労使協定の内容を決定するに当たって考慮した事項等を説明するとか、派遣先からの追加情報提供の配慮ということがあろうかと思っております。
続きまして、資料3「労働者派遣法第30条の4第1項の規定に基づく労使協定(イメージ)(素案)」という資料をごらんいただけますでしょうか。こちらにつきましては、前回の部会で、労使協定のひな形を示して議論すべきではないかという御意見を踏まえて、こちらのほうで作成したものでございます。各規定ごとに左向きの矢印をつけまして、派遣法第30条の4第1項のどの部分を踏まえて作成しているものかというものを追記するような形にしております。
まず、この事例では、第1条でプログラマーに適用するということを規定しております。
また、第2条で賃金の構成といたしまして、基本給、賞与、時間外手当などがあるということを記載しております。
第3条で同種の業務に従事する一般労働者の職種といたしましては、賃金構造基本統計調査のプログラマーといたしまして、比較対象の賃金というのは別表1に具体的には記載するということを記載しております。
また、1ページの下のところに注を幾つかつけておりますけれども、留意点といたしまして、賃金構造基本統計調査と職業安定業務統計を使い分けるような場合などにつきましては、その理由を記載するような形にしております。
2ページ目の第4条でございますけれども、派遣労働者の賃金の職務とランクごとの年数の対応関係というものを決めまして、具体的には別表2に記載するという形にしております。
また、第2項ですけれども、能力や経験の向上があった場合につきましては、能力手当を支払いますとか、より高い等級の職務を遂行する能力があると認められた場合につきましては、その能力に応じた派遣就業の機会を提示するよう努めるという形で規定しております。これは、あくまで職務給での例でございますし、賃金の改善方法というのもあくまで一例ということで、これ以外の方法も考えられるということを※で記載しております。
5条、6条では、時間外ですとか通勤手当につきまして規定しまして、第7条で退職手当について記載しております。第7条では、一例としてですけれども、東京都の調査と比較するということにしまして、第8条で当該協定で定める派遣労働者の退職金水準を、具体的には別表4で定めるということを記載しております。
また、9条で評価、10条、11条で賃金以外の待遇、13条で有効期間を定めるという形にしております。
5ページ目の別表1が、比較対象の賃金として賃金構造基本統計調査の賃金額に地域指数を掛けたものでございます。
これを使いまして、6ページの別表2でございますけれども、この協定で定めますAランクからCランクまでの賃金額というものを左側に記載しまして、右側に別表1の賃金を引っ張ってきまして、Aランク、Bランク、Cランクのそれぞれの賃金額が上回っていますよということが確認できるような形にしております。
また、7ページに※を記載しておりますけれども、協定の有効期間内に厚生労働省が公表する賃金データが改訂される場合もございますので、そういった場合につきましては、改訂後の同種の業務に従事する一般労働者の平均的な賃金額と同額以上ということを確認した旨の書面を追加でつけていただくということを考えております。こうすることで、協定の改訂が必要ないか、検証するプロセスも盛り込んでおります。
8ページの別表3は、同様に退職手当の関係でございまして、比較対象とします東京都の事例のテーブルでございます。
別表4で、当該協定における対象従業員の退職手当のテーブルを上に記載しまして、別表3に書いておりました東京都の退職金調査の結果を下に記載いたしまして、上回っていることが確認できるような形にしております。
また、厚生労働省が公表するデータの改訂があった場合の取り扱いにつきましては、同じように9ページの下に※で記載しているものでございます。
続きまして、資料4をごらんください。「労使協定の周知方法に関する対応方針<法第30条の4第2項関係>」というものでございます。これにつきましては、派遣法第30条の4第2項の規定によりまして、派遣元は労使協定を周知しなければならないということになっておりまして、その周知方法につきまして、その派遣労働者の特性を踏まえまして、真ん中の点線で囲っております四角の①、②、③のいずれかの方法をとることを省令で規定することを御提案しております。
ただ、①書面の交付等、②イントラネットの活用、③派遣元事業主の見やすい場所での提示、または備え付け。それに加えまして、協定の概要について書面の交付等で周知するというやり方を提示しておりますが、この③の方式の場合の協定の概要につきましては、重要な事項が記載されているべきじゃないかという御指摘もございましたので、真ん中から下の望ましい対応等ということで、点線で囲っています1、2の2点につきまして、派遣の業務取扱要領において明らかにするとともに、パンフレットなどで周知してはどうかと考えております。
1点目が、③の方式をとった場合の「概要」につきましては、少なくとも、対象範囲、賃金の決定方法、有効期間を盛り込んで、派遣労働者が容易に理解できるようなものにすることが望ましいということを業務取扱要領に規定して、さらには後ほど御説明しますけれども、「概要」のひな形というものを要領に掲載して周知をしてはどうかと考えております。
また、2点目でございますけれども、派遣労働者から協定の本体について希望があった場合につきましては、協定本体を書面の交付などによって周知することが望ましいということについても、業務取扱要領で規定するということを考えております。具体的に概要のひな形というものが2ページ目でございます。周知方法③をとった場合の労使協定の概要のひな形(案)でございますが、重要な事項を記載するということで、まず対象労働者の範囲として、プログラマー。それから、賃金の構成といたしまして、基本給、賞与等。それから、賃金の決定方法として、賞与と基本給を足した合計額、Aランク、Bランク、Cランク、それぞれの額。それから、時間外は法律の定めに従って支給。通勤手当は、実費を支給。退職手当は、このテーブルで支給するということを書いて、最後に有効期間がいつからいつまでということを記載するという形を考えております。こういった資料を使って、労使協定の概要のひな形というものを通知でお示しするということを考えております。
続きまして、参考資料1でございますが、「平成29年職業安定業務統計による職種別平均求人賃金(時給換算)」としております。これにつきましては、10月2日にお示しした際は、賃金の計算を暦年で行っておりましたので、暦年でやった場合はこういった水準になりますということで、先ほど少しお話しいたしました、年度でやった場合の資料と比較ができるようにということで、参考にお配りしております。
同じように、参考資料2につきましても、地域指数を暦年で計算した場合の数字でございます。
それから、参考資料3でございますけれども、「第9回から第13回までの部会での主なご意見について(未定稿)」というものでございます。これにつきましても、9回から13回までの部会での主な御意見につきまして事務方のほうで整理させていただいておりますが、第13回で新しくいただいた御意見、例えば4ページ目の下の部分などにつきましては、下線を追加するような形でわかるような形にしております。
参考資料4は、改正法の条文。参考資料5は、新旧対照表。参考資料6は、部会の建議で、前回までも配付しておりますので、内容につきましては説明を省略させていただきます。
事務局からの説明は以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございました。
それでは、議事に入りたいと思います。本日の議事の流れは、次のようにさせていただきたいと思います。
まず初めに、資料1、労使協定方式による賃金水準について議論いただきます。続いて、それ以外の資料2から資料4についての議論をいただきたいと思います。
それでは、まず、資料1の労使協定方式における賃金水準を中心に御意見、御質問等がございましたら、お願いいたしたいと思います。
では、梅田委員。
○梅田委員 ありがとうございます。
今後の統計のあり方について、若干お願いと申し上げたいことがございます。
今回示された統計には、賃構や職業安定業務統計の元データを併記したり、勤続0年の特別給与に関して注記するなど、これまでの部会での議論を踏まえて一定の修正をいただきました。ありがとうございます。
ただ、それでもなお、今回の統計は擬似的に算出した数値という印象が否めないのが現状であると思います。今回、統計の限界により、このような基準を示すしかないとしても、今後は派遣労働者を比較対象とする一般労働者の賃金水準を正しく把握・設定できるような統計のあり方を検討していただくよう、お願いします。
以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。では、鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員 ありがとうございます。
ただいま梅田委員がおっしゃられたことは、同じ思いでございます。職種の区分については、今の統計の限界から、実際に派遣で就労されている方の同種の業務に就く比較対象者データとしては十分じゃないという思いを私自身も持っているところでございます。将来的に解決すべき課題として、認識を共有していることを申し添えたいと思います。ありがとうございます。
○守島部会長 ありがとうございます。では、村上委員、お願いします。
○村上委員 今の御発言などに関連する質問ですが、派遣法30条の4では、労使協定方式のイの要件として「派遣労働者が従事する業務と同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金の額」と規定されております。
この「一般労働者の平均的な賃金額」として賃金センサスや、ハローワークの求人賃金の統計を示すわけですけれども、これら統計に示されている職種にフィットする業務もあることはあるのですけれども、派遣で働かれている方の業務と必ずしもフィットするものがないような職種や、どれに当てはまるのかわからないという職種もあるのではないかと思っております。
その前提でお伺いしたいのですが、賃金センサスや職業安定業務統計で示されているのは「職種」ですけれども、派遣労働者が従事する業務と同種の業務というものをどのように判断すればいいのでしょうか。参考となる判断材料などが何もなければ労使は困ってしまうと思うのですが、お考えをお聞かせいただければと思います。
○守島部会長 ありがとうございます。では、課長、お願いします。
○牛島需給調整事業課長 確かに資料1-3だけですと、具体的にどの職種、細かな仕事の内容を突き合わせて、どれに該当するかというのがわかりにくいということは御指摘のとおりでありますけれども、資料としてお配りしておりませんが、JILPT等が職業分類について、さらに解説書的な、ガイドライン的なものを作成し、公表しております。
実務におきましては、そういったところも参考にしていただければと思います。このガイドラインの中には、比較的ブレークダウンした個別の職種で、こういうものは該当する、こういうものは近いけれども、該当しないという一定の整理がなされておりますので、そういったところを御参照いただきながら、現場において判断いただくことが基本ではないかと考えております。
○守島部会長 ありがとうございます。では、村上委員。
○村上委員 資料1-3の5ページの「H 生産工程の職業」は、何をつくっているかという観点から小分類がされていることから比較的わかりやすいかもしれないですが、「C 事務的職業」は迷う部分があるのではないかと思っております。「一般事務員」の中でも、総務事務員や人事事務員などで分かれており、秘書や受付というのは仕事内容が割とはっきりしていると思います。一方で、例えば保険会社の営業補助的な事務や不動産販売の事務などについて見ると、4ページにある不動産営業や金融営業に関する知識が必要であったり、業務としてとても近いものを要求されるお仕事をされているのではないかと思います。これらが「事務」という名称で募集されているときに、どちらに当てはめていくのかということで言えば、ある程度知識・経験を持った派遣の方々が保険の事務などをやっている場合には、保険営業に近くなってくるのではないかと思います。実態を見ずに「一般事務員」に分けてしまうと、賃金が低いものになってしまうのではないかという懸念をしているのです。
先ほど御紹介のあったJILPTの資料では、派遣で働いている方の業務がどの職種に当てはまるかなどがわかるようになっているのかということを御質問したいと思います。
○牛島需給調整事業課長 手元に今、持ち合わせていないというところが現状でございます。ただ、私が把握している限りでは、ある程度ブレークダウンしたものが載っていると理解しております。なおかつ、そういったところでどの分類に該当するのかというのは、そういったものをもとにして、一番知っているのは現場の労使ではないかと思っておりますので、その判断がまずベースになると考えます。
ただ、明らかに不合理ではないかというところが、監督指導等の場面で散見されるような場合がありますれば、必要な指摘をしていくということになろうかと思います。ただ、実際問題としては、現場労使の判断というところが基本になってくるのではなかろうかと考えています。必要であれば、JILPTがつくっている資料は公表されているものですので、次回共有したいと思います。
○守島部会長 どうぞ。
○村上委員 次回、お示しいただけるというお話ですけれども、日常的に労使関係がある職場であれば、現場労使で職務へのあてはめを検討するという御説明もわかるのです。しかし実際には、特に事務派遣の世界などで言うと、労使関係がきちんとあるというわけではなく、交渉で物事を決めていくという世界もないわけです。労使協定を結ぶ中でどれだけ交渉が行われるかという実態を考えると、現場労使の判断に委ねてしまうことは少し問題があるのではないか。この点を意見として申し上げておきたいと思います。
○守島部会長 ありがとうございます。ほかに。では、村上委員、お願いします。
○村上委員 別件の質問です。資料1-4の職業安定業務統計の地域指数について、まず都道府県別の指数を示し、その後にハローワークごとの指数を示すという整理をされたということですけれども、労働側としては、従前より申し上げておりますが、地域指数をハローワークの地域ごとに示すということは複雑過ぎるのではないかと考えております。また、そもそもハローワーク毎に細かく示す必要性もないのではないかと考えており、この考えは変わるものではありません。
例えば、あるハローワークの地域で大型の工場などが新設されて瞬間的に求人の賃金が上昇した場合、それにあわせて一般労働者の平均賃金、地域指数も上がっていくことになる。その1年後にその工場の求人がなくなって求人賃金の平均が下落したら、一般労働者の平均賃金と地域指数も下落する。地域指数を細かく設定すればするほど、一般労働者の平均賃金の変動幅も大きくなっていくのではないかということを懸念しているのです。これで本当に労使協定方式が目的とする派遣労働者の処遇の安定というものが達成できるのか。最賃も都道府県単位で設定されていることも踏まえれば、地域指数も都道府県単位での設定が妥当ではないかと考えております。意見です。
○守島部会長 ありがとうございます。では、鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員 ありがとうございます。
ただいまの地域係数の件でございます。繰り返し申し上げて大変恐縮ですけれども、改正法の条文には、同種の業務に従事する一般労働者の平均的な賃金ということがうたわれております。例示として適切かわかりませんけれども、網走にある地元の派遣会社が労働者派遣を営む際、札幌も含む北海道全体の相場というのは関係がないわけでございます。一般労働者の平均的な賃金について、県内でも相場・水準が違うということであれば、当然、より細かい係数を使うのが自然と考えるところでございます。
私自身は、実態に近づいたデータを使うというのが法律の思想だと理解しており、むしろハローワーク所管ごとの地域係数を使うことを原則に明記してもおかしくはないとすら思っております。
先ほど最低賃金のお話もされましたが、最低賃金は最低の賃金でございまして、他方、派遣法の場合には、まさに同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金、つまり比較対象がある話でございます。最低賃金との比較の中で議論するというのは、私自身はちょっと違和感があるところです。
地域係数ということを都道府県別にするのか、あるいはハローワーク所管の係数を使うのかという問題は、先ほど御指摘がありましたけれども、一義的には派遣元の労使で考えるべきと思う次第でございます。以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。では、吉清委員、お願いします。
○吉清委員 今の鈴木委員の御発言にも関連することかと思いますが、地域指数を仮にハローワーク別に設定するとした場合において、地域指数の取り扱い方について、具体的なケースを挙げて確認させていただきたいことがございます。資料1-4の地域指数の一覧表の2ページに、例えば北海道の数字がございますので、北海道と、その次の札幌と函館を使って、一つ一つ確認したいと思います。
まず1つ目は、例えばある一つの派遣元から札幌圏内に事務で派遣されているAさんがいて、その方には札幌の地域指数を使います。他方、同じ派遣元から同じく札幌圏内にある会社にエンジニアで派遣されているBさんがいて、その人には北海道の地域指数を使う。こうした同じ地域に派遣されているにもかかわらず、別々の地域指数を使うケースは、指数を使い分ける合理的理由はないと思いますけれども、こうした運用は不適当と考えていいのでしょうか。事務局の考えを伺いたいと思います。
○守島部会長 はい。
○牛島需給調整事業課長 基本的には、職種ごとに、北海道一律の指数を使うのか、または各ハローワーク別の指数を使うのか、これは労使で協定をつくっていただくというのが原則でございます。ただ、例えばエンジニアの派遣で、函館にも行っているけれども、ほかの北海道のエリアにも行っているということがあったときに、北海道の数値を使うということは全く否定されるものではありませんので、その辺はケース・バイ・ケースの判断になってくるというのが私どもの考えでございます。
○吉清委員 そうすると、私が先ほど申し上げた、ある一つの派遣元から同じ札幌のハローワーク管内に違う職種で派遣されているケースは、同じ地域に派遣されているけれども違う指数が使われるのは合理性がないと理解したのですが、そういう理解なのでしょうか。
○牛島需給調整事業課長 すみません、御質問が十分理解できませんでした。
○吉清委員 ある同じ派遣元会社から札幌に派遣されているAさんには札幌の指数を使い、違う職種で派遣されているBさんには札幌に派遣されているけれども北海道の指数を使うケースについては、不適当な運用と理解してよろしいですか。
○牛島需給調整事業課長 十分理解できていないですが、Aさんは事務をやっていて札幌に行っています。Bさんは。
○吉清委員 Bさんはエンジニアで札幌に派遣されています。そうした場合に、Aさんには札幌の指数を使って、Bさんには北海道の指数を使うというケースは適当か不適当かということです。
○牛島需給調整事業課長 労使協定ですので、そこの合意というのはありますけれども、基本的に職種が違っているという実態であれば、一概に否定されないものと考えております。もう一つ、私どもが一番懸念しなければいけないのは、恣意的な引き下げを行う可能性というものかと思います。
そのときに、例えば、エンジニアの派遣におきまして、函館にも行っているけれども、実は北海道のほかのところにも行っています。そういった場合に、北海道を使います、事務は札幌だけに特化して行っているので札幌を使っていますということであれば、これは否定されるものではないのではないかと思います。けれども、吉清委員が先ほどおっしゃったようなことをやっている結果、これは主観の部分が入ってきますけれども、賃金額を引き下げるためにそういったことをやっているということであれば、そこは恣意的な運用になってくると思いますので、許されるものではないということを運用を検討する段階で考えていきたいと思います。
○吉清委員 もう1つ具体的なケースを用いて確認したいのですけれども、ある派遣元から札幌に部品の組み立てで派遣されているCさんがいます。このCさんには、札幌よりも相対的に低い北海道の地域係数を使い、函館に小売で派遣されているDさんには、北海道のよりも相対的に低い函館の係数を使う。こうした低い指数を地域毎に恣意的に使い分けすると思われるようなケース、つまり派遣される地域によって都道府県とハローワーク別の地域係数の恣意的な使い分けは、不適当な運用と理解してもよろしいですか。
○牛島需給調整事業課長 結果的に北海道の地域指数を使えば91.7、札幌は96、函館は87.3という状況がある中で、より地域の実態に則した運用をするのですということで函館のほうに派遣されている方については、87.3を使います、札幌に行かれる方は96.0を使います、これは、全く否定されないと思います。
その次にあるのは、札幌にしか派遣されている人はいません、なのに、北海道全体の91.7を使う。これは、恣意的な引き下げの可能性というのが非常に強いものと思われますので、そこは一義的には認めがたい部分になってくるのではないかと思っております。ただ、それ以外の合理的な事情があれば、どういうものがあるのか、ちょっと想定しにくいですけれども、そこは、1つ確認は必要かと思っております。
ですので、運用におきましては、実態としてハローワーク管内指数が高い地域に派遣されているような場合に、それより低い都道府県全体の指数を使って労使協定を締結している場合につきましては、そこは真意を確認させていただくという扱いになろうかと思います。
○吉清委員 今、牛島課長がおっしゃったとおり、地域指数の使用について、法の趣旨に沿った運用がなされてしかるべきだと思っておりますので、通達やパンフレットで、具体例などを用いて「こうした運用は適当でない」という形できちんと明示いただくほうが、法の趣旨から逸脱したような地域指数の運用が生じないと思っております。
今、ぱっと思い浮かんだだけでも二つ、三つ、こうしたケースはどうだろうというのがあると思いますから、さまざまな事例を並べて、こういう場合は合理的でない、こうした場合は労使の関係の中で決めることがあり得るということを、ぜひ例示いただけるようにお考えいただきたいと思います。
○牛島需給調整事業課長 施行までに周知の中でわかりやすいツール等を考えてまいりたいと思っております。
○守島部会長 はい。
○岩村委員 今の議論ですが、私はちょっと違和感を覚えています。というのは、これはあくまでも協定なので、過半数の労働組合、または過半数の従業員の代表者との間での話し合いを経て締結されているということになっているはずです。使用者が一方的に定めるものではないのです。そうしますと、その両者の合意に公権力がどこまで介入するのか、あるいは裁判所がどこまで介入するのかという問題になるので、それは使用者が一方的に定めるものとは性質がおのずから異なると私は思います。ですので、公権力が介入する、それは行政指導という形になるのかもしれませんけれども、それについては、ある程度慎重であるべきだというのが一般論の建前ではないかと思います。
他方で、今、議論の対象になったようなことが起こらないとは限らないので、そういう意味で、一定の指針とまでは言えないにしても、通達で何らかの方向性を示しておくということはあるかと思うのですけれども、基本的には協定で定めるというのであれば、それは当事者の自治の問題だと思うので、余り強い介入をするというのは、私はいかがかと思います。ですから、不適当だという程度にとどまるぐらいで、行政が介入するというのは、私は、それはちょっと問題なのではないかと思います。
○守島部会長 はい。
○牛島需給調整事業課長 今の岩村委員の御指摘の点につきまして、私ども、基本的には労使の合意が前提というところは、発言の中で申し上げているのですが、さはさりながら、事業主側の思惑が賃金額を引き下げるというところで、最終的に合意し、労使協定の締結まで至っているとしても、恣意性が確認されるような場合につきまして、行政として何もしないのかと言われると、そこは適切な運用がなされるという観点からは、必要な確認を行う必要があるものと考えております。いずれにしても、運用までに、どういう仕組みでやっていくかというところは、精査してまいりたいと考えております。
○守島部会長 ありがとうございます。ほかにどなたか。では、梅田代理、お願いします。
○梅田代理 ありがとうございます。資料1-5の退職金の関係について意見を述べたいと思います。
今回、通達でここに記載の5つの統計を一般労働者の退職金水準ということでお示しいただくことになっておりますが、それぞれを見てみてわかるように、中労委の調査はいわゆる大企業を調査対象とし、東京都の調査は中小企業を調査対象としているなど、調査対象の企業規模に偏りがある調査が並んでいます。この調査対象に偏りがある調査を一般労働者の退職金として示すことについては、これまでも議論があったかと思いますけれども、少し疑問があるということを意見として言わせていただきたいと思います。
もう一点意見ですけれども、今回は退職金に関する絶対的な調査がないことから、5つの調査を通達で示して、それを参考に労使でどの調査を使って派遣労働者の退職金のあり方を決めるということになっておりますけれども、これは過渡的な措置とすべきであると考えております。
また、少なくとも大規模な派遣会社が、東京都の中小企業の退職金調査を基準に派遣労働者の退職金を決めるというケースは適当ではないと思っております。そういった実態に合わない運用がないように通達等で周知すべきであると思いますので、意見として述べさせていただきます。
○守島部会長 ありがとうございます。では、梅田委員。
○梅田委員 今の意見に関連する確認です。
資料1-5の「通達で示す退職金調査(案)」で示されている5つの退職金調査については、公表時期はさまざまです。この退職金調査についても、毎年、賃構や安定統計などの公表と同じタイミングで直近の調査結果を通達で公表するという理解でいいのか、確認させていただければと思います。以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。どうぞ。
○牛島需給調整事業課長 梅田委員の御指摘につきまして、資料1-5にありますとおり、1ページ目で調査時期等々、書いておりますけれども、当然、公表時期も年内のいろいろな時期になされていくというところがあります。ただ、いずれにしても、局長通知におきましては、その時点で一番直近の対応する退職金のデータを列挙するような形としたいと思っておりますので、この局長通知を見れば、直近の退職金はどういうものか一覧できるような形にしてまいりたいと考えております。
○梅田委員 そういう形でやっていただければと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
○守島部会長 鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員 ありがとうございます。この通達で示す退職手当に関する調査というのは、あくまで参考という扱いで議論されてきたと理解をしております。これは限定列挙という意味で通達において示すということかどうかを確認したいと思います。
○牛島需給調整事業課長 鈴木委員の御指摘ですけれども、確かにこれは参考でありまして、この数値以外を使ってはいけないという趣旨のものではないということであります。ですので、これ以外の統計が場合によってはあるかもしれませんし、また、当然、独自統計といったところもございますので、そういったものも活用しながら、これらを材料に現場の労使で御議論いただく、御決定いただくということと考えております。
○守島部会長 鈴木委員。
○鈴木委員 ありがとうございます。通達を出されるときには、そのことが間違いのないような形で丁寧に説明文を入れていただければと思いますので、よろしくお願いします。
○守島部会長 ありがとうございます。ほかにどなたか。及川委員、お願いいたします。
○及川委員 資料1の横紙の議論に戻るのですけれども、今回、同一労働同一賃金という大きな方向で中小企業が対応するという一つのポイントが、労使の話し合いをしっかりしましょうというところが基本中の基本です。労使の話し合いを中小企業でもしっかりやりましょうというところで労使自治ということが出てきます。ですから、そこでしっかり自治ができているものが、いろいろな相談をしたときに違いますということで、もう一度持ち帰って紛争というか、トラブルにならないように、相談したときに統一的な見解が出るように、自治を重んじた現実的な対応をしていただきたいと思います。
○守島部会長 ありがとうございます。では、村上委員。
○村上委員 前の議論に戻るのですけれども、使側の委員から違うと言われるかもしれませんけれども、原則である派遣先均等・均衡を例外的に外していくのが労使協定方式だと考えております。労使協定方式というのは、労使協定が適切な内容や手続きを経て締結され、労使協定で定めた内容が守られているということがあってはじめて派遣先均等・均衡の例外を認めるというものです。その労使協定の内容として、先ほどの繰り返しになりますが、派遣労働者の賃金は派遣労働者が従事する業務と同種の業務に従事する一般労働者の平均的な賃金の額と同等以上でなくてはならないということが、法律上定められているところです。
そのときに、使側のご意見の中で、地域指数は実態を見てより細かくするという御主張がありましたが、今回議論している資料1-2や1-3などの指標は、平均の額だったはずのところを、各種調整をした上で勤続0年の基準値をつくっているわけです。御主張が、あるときは実態に合わせてというお話だったり、平均を調整した数字であったりという点については違和感を覚えております。できるだけ平均に近づけるということはあってしかるべきで、ただ、平均だと勤続年数がいろいろな方々がいらっしゃるから勤続0年ということをつくっているわけで、そのことは十分前提にした上で御発言いただければと思います。
また、労使協定への過度な行政の介入はいかがなものかというご意見につきましては、一般論としてはそのとおりであると思っております。しかし、繰り返しになりますけれども、労働者派遣に関しては、無期雇用派遣や一定の専門性があるような職種での派遣の場合は労使関係がきちんとあるところもあります。しかし、そうでないケースもたくさんあり、労働組合の組織率も高くないわけです。労働組合がある職場では、組合が頑張って交渉して、それこそ及川委員がおっしゃるように、労使自治の世界で賃金・労働条件などを決めていくということですけれども、現実はそうではないところがあるわけです。
そうした実態がある中で労使自治と言われても、派遣労働者の方々の就業場所は派遣先毎で様々であり、そうした中で労使協定を結ぶとなると、結局、会社側からこのような労使協定を結ぶけれどもよいかということを1人の過半数代表者が問われたとき、「はい」と言わざるを得ない。これが現実ではないかと思っております。
同一労働同一賃金の法整備をしたからには、派遣労働者の方の賃金水準が上がっていくという目的に資するようにしていかなければ、せっかくつくった規定が絵に描いた餅になってしまうのではないかという懸念をしております。
どのような手法で労使協定の中身を法の目的に資するようにしていくのかということは、さまざまな知恵も工夫も大事だと思っておりますけれども、労使自治だから、労使で決めたからそれで済むのだということは、この派遣の世界については、もう少し労使関係ができてくればそういうことも言えるかもしれませんけれども、まだそういう段階にはなっていないのではないか。だからこそ、法律でこういった規定ができているということを、政策を考える上では十分に配慮しなくてはいけないと思います。以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。では、鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員 協定方式か均等・均衡方式かということにつきましては、何度も申し上げているつもりではございますけれども、基本的には派遣元労使の中での話し合いで決めていただくことかと思います。ただし、協定方式を結んだ場合で、運用上、違法行為状態があるということであれば、派遣先均等・均衡方式に戻るというのが法制上の原則と例外の関係にあるということではありましょうが、どちらかを選ぶということ自体は、派遣元労使の方々の自治を最優先に考えるべきと思っております。
それから、先ほどの平均と実態ということで矛盾しているのではないかという御指摘をいただきました。私自身、矛盾は一切感じてはおりません。資料1-3というのはあくまでも職種の話です。法律のほうは「業務」と書いてございます。したがいまして、理想形を言えば、実態に合う形で、なるべく業務という、より細かく見ていかないといけない問題ではあります。しかし、冒頭申し上げましたように、統計上の限界があるということで、政策上、どういうものがベストかというのを今、我々は議論しているのではないかと思っております。
例えば、賃金構造基本統計調査、ハローワーク統計とも、「○○工」という呼称の職種も少なくございません。こうした「○○工」という方々は、国家資格をお持ちになったり、ある一定の専門スキルを持った方がいらっしゃって、勤続0年の場合でも、そうした専門性をこれまで発揮してこられた経験者であるということが少なくないと思います。
他方で、派遣で働く方々は、そういった専門性、スキルを必ずしも十分お持ちでない方もいらっしゃると聞いているところでございまして、業務ではなく、職種という大括りの中で比較する。その中で、仮に専門性を持たない派遣労働者と「○○工」と呼ばれる方がいたとした場合に、具体的な業務の内容の乖離が実態には大きいのではないか。そういう問題意識から、なるべく実態を踏まえた議論をしていくべきではないかと思っている次第です。
最後、派遣労働者の方々の不合理な処遇があれば、それを改善していく。さらには、能力開発等を通じたキャリアアップが図られるよう、国を挙げて支援していくということは大変重要なことだと思いますし、前回申し上げましたけれども、現在の事務局の案というのは、例えば一定のルールのもとで退職金、賞与、通勤手当といったものの水準をオンする仕組みになっておりますので、総じて水準としては高く、処遇改善にもつながる仕組みだと理解しているところでございます。以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。ほかに。吉清委員、お願いいたします。
○吉清委員 資料1-1の「局長通達で示す統計以外を用いる場合」について、2点意見を述べたいと思いますが、その前に今、鈴木委員から一般的な話として、派遣労働者の方と「○○工」で勤めていらっしゃる方の比較において、「○○工」の中には固有の資格とか知識なりスキルをお持ちの方がいるという比較対象の御発言がありました。たしかにそうした実態もあると思いますが、逆に「○○工」の職種に派遣される派遣労働者の方が専門的なスキルや知識を有しているような実態もあろうかと思います。したがいまして、今の鈴木委員の御発言については、私自身はそうしたケースもあろうかと思いますが、この議論を進める上で一般的なケースとしては考えることは必ずしも適当ではないと思いますので、1点申し述べておきます。
その上で、「局長通達で示す統計以外を用いる場合」について2点ほど意見を申し述べたいと思います。
まず1点目は、1-1の一番下の「局長通達で示す統計以外を用いる場合」の2つ目のポツに「集計項目ごとに実標本数を一定数以上確保」とありますけれども、そもそも賃金構造基本統計調査や職業安定業務統計でおおよその職種をカバーし得る中で、それ以外の独自統計を用いるということに鑑みれば、独自統計の確からしさと信頼性を担保することが今回のルールの肝であると思います。そうした中、独自統計に関しては、以前の部会で標本数が大体30あればという御発言が事務方からありましたけれども、30の標本数でその職種における「一般的労働者の賃金水準」を適切に示すことができるのか、感覚的には疑問を覚えるわけです。感覚的な疑問にとどまらないためにも、標本数や調査頻度、集計内容や集計手法、あるいは勤続年数ごとの標本をどの程度取るのかなど、独自統計の合理性を担保するような、基準や考え方を示すことが必要であると思います。それが1点です。
2点目は、先ほど申し上げたとおり、独自統計は確からしさと信頼性の担保が肝であると考えますと、以前の部会で独自統計は行政が事前にお墨つきを与えることはしないという答弁があったと思いますが、行政として独自統計の確からしさをどのように担保するのか、はたまたしないのか。この点について議論が必要であると思います。我々としては、行政として、なんらか独自統計の確からしさを担保するプロセスが必要ではないかと思います。その統計の確からしさの確認までも、過半数組合とか過半数代表者あるいは司法判断に委ねるとするならば、さきほどの村上の発言にあったように、現実が追いついてこないこともあろうかと思いますので、何らか行政としての独自統計の確からしさを担保するプロセスをお考えいただいたほうがよいと思います。以上です。
○牛島需給調整事業課長 ただいまの吉清委員の御指摘につきまして、独自統計、どういった標本数であれば等々の骨格となる内容というのは、何らかの形で決めていくべきだと思っております。施行までの間に確からしさが確保されるような水準というところも踏まえながら検討してまいりたいと考えております。
○守島部会長 ありがとうございます。村上委員。
○村上委員 今の資料1-1の「局長通達で示す統計以外を用いる場合」の部分で質問ですが、そもそも要件としてある「賃構等で把握できる職種と派遣労働者が実際に行う業務との間に乖離がある場合」という点について、この乖離というのは何の乖離なのかということを、具体例を挙げて御説明いただければありがたいと思っています。
また、初めに申し上げたこととも重なるのですが、先ほど来、出ているように、賃金センサスなどで示されているのは「職種」であって「業務」ではないということについて、どのようにして判断するのかということの考え方は出しておくべきだと思います。先ほど、それは次回お示しいただけるとおっしゃっていましたけれども、次回示すJILPTの職務分類表は判断材料です。法律で派遣労働者が行う「業務」と書いてあるところを「職種」にどういうふうに当てはめていくのかのヒントになるようなことは、何らか示していただかないといけないのではないかと思います。この点について、今、お考えがあれば教えていただければと思っております。
○守島部会長 では。
○牛島需給調整事業課長 今日、手元に資料がない中でのお話になってしまって恐縮ですが、JILPTのガイドラインをごらんいただきますと、職業細分類というのも出ておりまして、仕事の中身といいますか、より細かな内容が出ている構造になってございます。ですので、それが1つの参考になるのではないかと考えておりまして、まずはそれを確認いただきながら、労使間でどれが近いのかということを精査いただくことが基本であります。
そこの中にありますけれども、あくまでここに定めています職業安定業務統計の分類というのは、小分類まで落ちていますけれども、今ほどご案内のとおりその下にさらに細分類というものがございまして、例えば、資料1-3の9ページに「782軽作業員」という分類があります。この軽作業員の解説として、ガイドラインでは、「工場・建設現場・小売店・病院・旅館・食堂などにおいて、特定の型に限定されない各種の軽作業に従事するもの」を言って、この小分類に該当する職業としては、工場労務作業員、建設現場労務作業員、小売店作業員等の細分類に分類される構造になっております。
ここで、資料1-1で言っています職種と実際に行う業務との間の乖離というのは、まさにそういったものをイメージしています。ですので、軽作業であっても、いろいろなところで行われる作業がありまして、その中のどれに近いのかによって賃金水準は変わってくる可能性があります。そこをより細かく見るためには、独自統計で調査をとるというものが端的な例として想定されると考えております。
○守島部会長 ありがとうございます。それでは、そろそろ資料2から4に移りたいと思いますけれども、何かございましたら。梅田委員、お願いします。
○梅田委員 資料2の事業主が実施すべき実務の流れについてです。今回のフローチャートによって、流れのイメージはつかむことができました。ありがとうございます。
ただし、派遣先均等・均衡方式と労使協定方式ともに、中段に記載されている、雇い入れ時の待遇の情報の明示・説明は、この位置が適切ではない場合もあると思います。具体的には、無期雇用派遣労働者の場合は、①の比較対象者の待遇情報の提供の前になるのではないかと思いますが、その点はどうお考えなのか確認させていただければと思います。以上です。
○牛島需給調整事業課長 今の梅田委員の御指摘のとおり、これはあくまでイメージといいますか、こういうケースが多いのではなかろうかというところを、現場の実務をよく知っている団体等にも聞きながら設計したものですが、必ずしも全てのケースがこれに該当する流れにはならないと。御指摘のとおり、無期雇用の場合につきましては、雇入れ時にまず待遇情報が決定されますけれども、具体的な派遣先が決まってくるのはその後になってくるということもよくございます。
ですので、そこはいろいろなケースが考えられますが、総じて多いのはこういうパターンではなかろうかという前提で作成しておりまして、周知に当たっても一般的にこういった流れになりますということは扱ってまいりたいと思います。けれども、これに限られるものではないということもあわせて、きちんと周知してまいりたいと考えております。
○梅田委員 それでは、イメージということで捉えればよろしいということですね。
○牛島需給調整事業課長 そのとおりです。
○守島部会長 ありがとうございます。では、吉清委員。
○吉清委員 資料4の「労使協定の周知方法に関する対応方針」について、実務的な意見です。これにつきましても具体的なイメージをお示しいただき、ありがとうございました。
労使協定方式においては、比較対象とされている「一般労働者の賃金水準」が制度設計上重要な項目であり、協定対象となる派遣労働者にとっても自分の賃金の基礎となる重要な情報であると思います。したがいまして、資料4の2ページ目の、派遣労働者に渡されることになる労使協定の「概要」のひな形の中に、賃金の決定方法という項目がありますけれども、この中には、自分の賃金の比較対象となった「一般労働者の賃金水準」も記載したほうがよいと思った次第ですので、御検討いただきたいと思います。
○守島部会長 ありがとうございます。鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員 ただ今の吉清委員からの御意見についてでございます。御指摘の点は概要をどこまでフルスペックに近づけるかという問題だと思っております。各派遣元の会社あるいは事業所はそれぞれおかれている状況も違うと思いますので、周知方法の的確なものを①から③のなかで、多様に選べるというところが重要ではないかなという思いがございます。吉清委員の思いもわかりますが、概要のところにだけ縛りをあまりかけてしまいますと、③の選択肢が使いにくくなり、選択肢として機能しなくなりやしないかという懸念があるということを申し上げます。
○守島部会長 ありがとうございました。はい。
○松浦委員 資料2について確認させてください。労使協定方式の場合は、同種の業務に従事する一般労働者の賃金に関する局長通達が、事務フローの中でとても重要になると思います。局長通達について、注書きには書いていただいているのですけれども、基本的にそれが出てきたところで労使協定の内容をチェックするという作業が必ず発生するはずなので、フローの中に入っていないというのに違和感を覚えました。
つまり、局長通達を受けて労使協定をチェックして、場合によっては労使協定を結び直すというというプロセスが必要になってくると思います。事務フローはイメージだというお話でしたけれども、イメージにしても、そこの考え方は非常に重要なところなので、再検討いただいたほうがいいのではないかということです。
○牛島需給調整事業課長 注意書きのところにその趣旨のことが、要は「一般労働者の平均賃金に変更があったときは」というのが、まさに局長通知が改定されたということとイコールでございますので、一定程度、書いてはいるつもりではございます。これを最終的に周知のツール等々で使うときにどういうふうにするかというのは、また少し考えてまいりたいと思っております。
○松浦委員 ありがとうございます。恐らく、派遣元が実際これを進めるに当たって、一番ティピカルな流れになるような形で事務フローを書いていただいたほうがいいのではないかと思います。今後見直していただければ幸いです。
○岩村委員 よろしいですか。今の松浦委員の発言との関係で言うと、労使協定方式の過半数代表者の次のところに、局長通達等で最新の統計等をチェックというのを、締結についてのフローの一番最初のところに入れるというのが恐らく適当だと思います。それが協定締結する場合の最初のステップだと思うので、それを頭に入れていただいたほうがいいかなという気が、今、松浦委員の発言を聞いて思いましたので、追加でございます。
○牛島需給調整事業課長 ご指摘を踏まえ検討したいと思います。
○守島部会長 はい。梅田代理。
○梅田代理 ありがとうございます。資料3の労使協定のイメージについて、2点確認させていただきたいと思います。
まず、今回、イメージを出していただいて、労使協定の全体像をつかむことができましたが、今回示された資料はあくまで労使協定のイメージであって、行政への届出様式などではないという理解で良いでしょうか。また、行政に実際に届出を行う場合、要件さえ満たしていれば、今回のイメージのフォーマットに限るものではないという理解でよいか、これは念のために確認させていただきたいということが、確認の1点目です。
2点目は、既に当該労使において、労働協約や就業規則によって、派遣労働者の方々の賃金とか労働条件とかを定めているケースについての確認です。特に、無期雇用派遣労働者の場合、賃金や賞与額を、資料3の別表2のように、時給ベースで決めているというのは余り見たことがないのです。また、賃金テーブルにつきましても、ランクA、ランクB、ランクCということで、ここでは3つの括りになっておりますけれども、実際はもう少し細かく等級や賃金テーブルで定めているケースが多いと思います。
こういった場合、現在、当該の労使で締結している労働協約や就業規則を全て破棄して、新たにゼロから労使協定を締結し直す、これを求めているのではないと理解しています。既存の労働協約や就業規則で、派遣法30条の4の労使協定の法定事項をカバーしていない部分があれば、その部分のみ追加的に締結するという理解でよいのか。この点について確認させていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○守島部会長 ありがとうございます。では。
○牛島需給調整事業課長 1点目の資料3の労使協定のイメージ、こちらもイメージと書いてございますとおりでして、この様式に沿って協定を締結してください、提出してくださいというものでは決してございません。いろいろな法律で求められている事項を落とし込んでいくと、こういうものも考えられますという位置づけで御理解いただければと思います。
また、既存の労働協約等々を改定、破棄することが必要なのかという御指摘ですけれども、そこまで求めているものではございません。ただ、今回、労使協定という形で法律上、いろいろな要件が設定されておりますので、現行の労働協約が全て法律で求められている労使協定の事項をカバーできているというのは、なかなか想定しづらい部分があろうかと思います。
ですので、例えば形式的には派遣法第30条の4第1項の規定に基づく労使協定という形にしていただき、必要な部分は労働協約を参照するような形で引用していただきながら、労働協約にないものについては、さらにその別紙という形で添付していただいて、最後に労使協定の当事者である過半数組合、もしくは過半数代表に署名捺印等々いただいて形式を整えていただければ、そこは法律上有効な労使協定になると整理したいと考えております。
○守島部会長 はい。
○梅田代理 ありがとうございます。そういうことでしたら、ぜひとも通達ですとか、パンフレット等を活用していただいて、わかりやすいように周知していただくということを御検討いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
○守島部会長 ありがとうございます。ほかにどなたか。及川委員。
○及川委員 2点申し上げたいと思います。
1点は、労使協定の周知方法ですけれども、周知ということが重要ですので、資料4にある③の概要というのは、この点線のところに書いてございますように、「少なくとも、対象となる派遣労働者の範囲、派遣労働者の賃金の決定方法及び有効期間」ということで、周知をするということの目的で概要があります。
いろいろなものを詰め込むということがどうしてもあり得るのですけれども、わかりやすく伝える、周知するということからしますと、ここにあるように少なくともということを重点に、概要というのは大まかなというより、しっかりしたものがちゃんと盛り込まれていますということだと理解していますので、あまりいろいろなものを書かないほうが、周知するには効果的だと考えております。1点目です。
もう一つは、資料3と資料4との関係というか、つながりですけれども、資料3のほうでイメージということで具体的に考えられるような文案を示していただいたものを、労使協定として周知するときとの関係です。資料3と4を比較しますと、もう少し書き方をしっかりリンクしていただいたほうがわかりやすいのではないかというところがありますので、ちょっと御検討いただきたいと思います。
例えば、資料4の2枚目の退職の表と、資料3ですと9ページ、むしろそろえたほうがありがたい、わかりやすいというのと。
同じ資料4の2ページ目に、時間外労働手当、深夜・休日手当、法律の定めに従って支給ということでありますけれども、資料3のほうでは、第5条のほうに、就業規則の○条に準じて、法律の定めによって支給するということになっていますので、こういった文言を同じようにされたほうが、周知とイメージというところで普及しやすい、あるいは中小企業にも説明しやすいと感じた次第でございます。御検討いただければ幸いです。以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。では。
○牛島需給調整事業課長 今の御指摘ですが、退職手当の表につきましては、資料3の9ページの上半分が実際に適用される退職手当の制度となっており、それをパラレルに書き写しているところでございますけれども、これを具体的にそろえるというのはどんなイメージでしょうか。
○及川委員 9ページの第4表の対象従業員の退職手当の額と書いてあるものが、少しわかりづらいのかと思います。見ると、表の幅が違うというのは、特に問題ないということですね。わかりました。形式的な話になりますけれども、別表4の3年以上、5年以上というところで、字間があるから広がっているわけではないということですね。あと、手当の額というところを見ますと、1.0というところが少しわかりづらいということを含めて。
○守島部会長 はい。
○吉村多様な働き方推進室長 及川委員の御指摘の、資料3の別表4の上の段に記載している支給月数の3年から5年のところと、25から35年の幅が違うのではないかという御指摘だったかと思うのですけれども、これについては、別表4の下に比較対象となる東京都の退職金の調査を引っ張ってきているかと思うのですけれども、そこで例えば15年から25年のところは、当該協定においては一つの幅で見ていますけれども、下の別表3のほうは、統計が15年から、20年からということで2つの幅にとっております。そことどちらとも、この企業の場合には上回っていますということがわかるように、あえてこの表においては幅を広くとっているということでございます。
ただ、概要については、比較のものは持ってきておりませんので、当該企業の協定の退職金の支給水準、月数だけを書いておりますので、概要のほうについては同じ幅にしているという形で、この事例としては掲載しております。
○及川委員 わかりました。
○守島部会長 ありがとうございます。では。
○山田委員 1のほうに若干戻ってしまうかもしれません。1のほうを中心に労使協定の話が出ていて、そこに対して意見というか、申し上げたいと思います。
村上委員が御指摘されているように、本来、労使協定がしっかり結ばれていれば問題ない。しかし、なかなか難しいということで、一定のルールを設けようという話だと。ところが、労使協定はあくまで労使協定なので、岩村先生がおっしゃっているように、そこを軽んじることはできないというのはそのとおりだと思います。
私は、それに対して2つ改善方法があるのかなと思っているのですが、1つは、まさに派遣の場合、いわゆる登録型のケースというのは余り想定されていないような形式になっていますので、そのときに具体的にどういう手順をしていったらいいのか。なかなか理想的なものはないと思うのですけれども、例えば過半数代表を選ぶときのプロセス、説明会を開いてやってみるとか、一定の何かがあると思いますけれども、そういう例示的なものを示していく。あるいは、その後、内容を周知していくということのマニュアルみたいなものを事務局のほうでつくれるようであればいい、1つ、それがある。
それによって、一定程度、労使協定の正当性を高めるようなやり方があり得るのではないか。どの程度できるかわかりませんが。
もう一つは、事前にこうやっていろいろ詰めていくことは、できる限りやればいいと思いますが、一方で、やればやるほど複雑になって、本当に実務が回るのかという話になると思います。
それと、以前に私、申し上げさせていただいたことの繰り返しになるのですけれども、理想的には、もちろん正規・非正規間の不合理な格差を一気になくすということですけれども、一気にというと、どうしても、それによって職を失ってしまうとか無用な混乱が起こるという現実もあると思いますので、現状をある程度配慮しないとだめだ。ただ、それは着実に賃金の上昇につなげていくという方向性でなければならない。そこを考えると、事後チェックというのもあり得ると思います。
それは具体的に言うと、毎年、派遣事業者というのは業務報告を出すということに確かなっていると思いますので、そこで1人当たりの平均賃金がどうなったかということの報告も出し、それを見て余り上がっていないケース、これは、もちろん理由があれば問題ないわけで、そういうところで事後的に情報を見ながら、行政のほうでそこのヒアリング等をやられていく。もし不適切なものがあれば行政指導されていくという、そういう事後的なチェックを組み合わせていくということも現実的な話なのではないか。
それと、当然、今回、本当に新しいことをやり出すので、一定程度やって、内容を見直して改善していくというプロセスを継続していく。事後的なところということの重要性もあるのではないか、その2点を意見として申し上げたいと思います。
○守島部会長 ありがとうございます。村上委員、お願いします。
○村上委員 山田委員の御指摘に関連しまして、実際に派遣労働者の賃金はどうだったかということを検証していくことは大変重要だと思っております。
それに加えて、先ほどの資料1に関連して、懸念点もあります。山田委員が御指摘されたように労働者派遣事業の事業報告が毎年公表されますが、その中で示されている派遣労働者の平均賃金を見ると、資料1-2の賃金センサスに基づく統計や資料1-3の職業安定業務統計に基づく統計に比べて、現に働いている派遣労働者の賃金水準のほうが高い職種もあるわけです。今回示す「一般労働者の平均賃金」の基準値というものを理由に、現に働いている派遣労働者の賃金が引き下げられることがないようにしなくてはいけない。この点を大変懸念しております。今回の基準値はあくまでもこれは労使協定の最低基準であって、これを理由に引き下げるという話ではないのだということを、周知の段階などではきっちりと示していただきたいと思います。
また、勤続0年を基準値として示していますが、労働側から以前から申し上げているとおり、経験豊かな専門性の高い派遣労働者の方もいらっしゃる中、派遣会社が変わると経験や経験が評価されず、勤続0年に戻ってしまうことのないようにすべきです。派遣労働者の能力・経験をきちんと評価し、それに応じて賃金も上がっていくということを目指した取り組みだと思っておりますので、そのことを派遣元、派遣先ともに十分理解するような周知が必要であり、その方法を考えていただければと思います。
関連して、労働力需給制度部会でも申し上げたのですけれども、今年の10月17日に「平成29年 派遣労働者実態調査の概況」が公表されておりますけれども、この調査で派遣労働者の方の派遣元への要望として最も多かったのは、「賃金制度を改善してほしい」という要望です。それは、賃金の額だけじゃなくて、きちんと生活できる安定した賃金制度にしていってほしいという要望であると私自身は理解しております。
どのような働き方であっても、きちんと働いていけば自分の生活を支えられる。このことを目指していくことが、今回の同一労働同一賃金の法整備の目的の一つであると思いますので、その目的にかなった労使協定方式にしていくことが必要です。この趣旨も通達や周知資料などにもぜひ記載いただきたいと考えております。以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。ほかに。よろしいですか。資料1、2、3、4について、大体議論が出尽くしたと理解させていただきたいと思います。
それでは、時間的にちょっとまだあるのですけれども、本日の議論はここまでにさせていただきたいと思います。
最後に、事務局から連絡事項をお願いいたします。
○松永有期・短時間労働課長 本日も熱心な御議論いただきまして、ありがとうございました。これまで御議論いただきました内容を踏まえまして、省令案要綱等を作成の上、この部会にお諮りしたいと思っております。
次回の同一労働同一賃金部会については、追って御連絡をさせていただきます。
○守島部会長 ありがとうございました。それでは、これをもちまして第14回「同一労働同一賃金部会」を終了いたしたいと思います。
なお、議事録の署名につきましては、労働者代表の梅田委員、使用者代表の田代委員にお願いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、本日は、お忙しい中、どうもありがとうございました。
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